クリスパー・キャスナイン(CRISPR/Cas9)とは生物の遺伝子を書き換える技術。21世紀の人類の生活を大きく変える技術とも言われている。
クリスパーを使えばDNAの断片を選択的に変更したり、遺伝子を無効化したり、遺伝子の突然変異を修正したりできる。
遺伝子編集によって、世界を自由に再設計することが可能になる。
科学者は既にクリスパー技術を使って、
かつて不可能と思われたことを実現した注目の10の事例がある。
①食欲を抑制するホルモンをつくるよう遺伝子編集を施した皮膚片をマウスに移植し、食欲と血糖値を抑えるのに成功。
②英インペリアル・カレッジ・ロンドンではマラリアを媒介する蚊を遺伝子操作し、集団の繁殖能力を失わせた。蚊が原因となる病気の撲滅を目指すことができる。
③米食品医薬品局(FDA)は遺伝子組み換えサケを認可している。
遺伝子編集により、大西洋サケがキングサーモンのような味と食感で、早く大きく成長するようになる。
④中国の西北農林科技大学の科学者らは特定の遺伝子を取り除き、より毛の多いカシミヤヤギを誕生。
⑤米ハーバード大学の研究で、ブタ内在性レトロウイルス(PERV)を保有しないブタが誕生。ブタからヒトへの臓器移植に道を開いた。
⑥中国では、侵襲性の強い癌の多くの予備研究にクリスパーが使われている。
⑦米ラトガーズ大学の研究者はウドンコ病に耐性のあるブドウを開発。
ワイン生産が増える可能性がある。
⑧アリは鋭い嗅覚で互いに情報を共有・交換する。米ロックフェラー大学の研究者らは、嗅覚に関連する遺伝子を編集するとアリの行動が変化することを発見。脳の触覚葉と回路が十分発達せず、食料調達を含む集団の生産性も劇的に低下。
⑨家畜の牛にとって角を切られることは大変な苦痛。
畜農家にとっても費用と手間が掛かる作業だ。クリスパーで角のない牛が誕生。
⑩マウスのDNAからHIVウイルスに関する部分を取り除く遺伝子編集に成功。